新型コロナウイルスがなぜ日本ではこんなに抑えられているのかについて、海外の専門家たちの間で様々に推測されているようです。
その一つの意見として、とても興味深いのが、日本人の、人と人との距離感。
世界で最も人と人との間に距離をとる習慣のある日本人は、意識しなくても距離をとっている。
この距離感が、感染を防いでいるのではないかという見解です。
たしかにそうかもしれません。
私たちは西洋人のようにハグしたりはしません。
握手さえもめったになく、距離をあけた位置から頭を下げるだけ。
ふだん当たり前と思っているこのような関係性が、西洋人には、かなり遠い距離感なのでしょうね。
この距離感は、日本人の愛情感覚と密接な関係があります。
西洋人がハグをしきりに行うのは、愛情を感じたいから。
スキンシップで愛情を感じるのは人類共通の感覚。
日本人ももちろんそれは感じます。
しかし、なぜ日本人がそのハグを求めないのか。
それは感覚の問題ですから、日本人にとっては、自身の感覚でわかるはず。
そこまでしなくても、私たちは愛情が感じられるからではないでしょうか。
むしろ、相手と相手との間に間があることで、スキンシップ以上の交流が生まれる。
それが日本人感覚の特徴でもあり、日本文化の極意でもあります。
間によって愛はよりいっそう深めることができる。
その極みが、茶道や、華道といった日本文化ではないでしょうか。
べったりと他に依存するのではない自立した愛。
その自立性が、自身の身を守り、他者との共鳴をより深く育む。
この私たちの【間】というものが今、コロナウイルスによって世界の脚光を浴びつつあります。